相続税専門の税理士 高橋寿克です。

ご主人・お父様ががお亡くなりに、葬儀、四十九日とあわただしく過ごし、
虚脱感を感じつつも、やっと落ち着いて、いえいえ涙もまだ乾かない頃

ある日、税務署から、「相続税についてのお尋ね」が来ます。
 
「相続税についてのお尋ね」は、固定資産の情報等を元に、選択されており、これが来る方の多くは、相続税の申告が必要な方の可能性が高いです。

「相続税についてのお尋ね」が来た場合は、面倒ですが放っておくことはおすすめできません。

これを放置していたら、効率的な行政が成り立たないので、国家としては優先的に調査するでしょう。
悪質な上、税理士がついていないと予想されるのだから税務調査で課税しやすいという判断をします。
調査が来れば厳しく調べられます。

まずは、基礎控除額以下かどうか確認しましょう。
 基礎控除額 = 3000万円 + (法定)相続人の数 × 600万円
で、例えば、奥さんと子供二人なら4200万円になります。
評価は不動産が一番難しく、建物は固定資産税評価額、土地は時価の8割程度です。

ここで注意が必要なのは、 思っていないものも相続財産になることです。
相続税の税務調査で一番脱税が多いのは、実は(妻、子、孫といった親族名義の)預金や有価証券です。
本人が相続財産と思っていない親族の預金なども、遺産として計上を求められることも多いです。
専業主婦はもちろん、子供が、昔、贈与されたと言っても通じないこともあります。

今までは、相続税がかかるのは、自宅と預貯金の他に、賃貸・事業用不動産や有価証券を持っている方がほとんどでした。

平成27年の相続税の改正で、自宅と預金のみの方も相続税の申告が必要になることが増えました。そういう方の多くは、小規模宅地の特例を受ければ税額はかかりません。
基礎控除額を超える場合は期限内(死亡日から10か月以内)に申告が必要です。

「相続税についてのお尋ね」をきちんと出して、必要なら申告することをお勧めします。そこまでやれば、よほどのことがない限り少額の方には税務調査は来ないでしょう。

ご自身でやる方法もなくはありませんが、手間ひまがかかって正直大変でしょう。
暇な方、勉強好きな方ならとめません。
税額が大して出ないはずなのに、税理士に依頼するのもめんどうですよね。
このケースはリスクが少ないので税理士も、うちも含めて比較的安くやることが多いでしょう。それでも20〜30万円くらいはかかります。相続税申告は資料の整理が税理士でも大変なので。

信託銀行や建設会社の相続税対策のCMや、税理士業界の騒ぎぶり…
都市部では多くの人が申告が必要になるという話もあります。

申告して税額がゼロや少額な方が多いなんて、多くの庶民にとって
社会的にはあまり意味のない、というか いい迷惑な改正ですね。